開催主旨


20104月の「薬害再発防止のための医薬品行政等の見直しについて(最終提言)」を受け導入された医薬品リスク管理計画(RMP)は、20124月発出の通知「医薬品リスク管理計画指針について(薬食安発0411号第1号、薬食審査発04112号)」により、201341日以降に製造販売承認申請する新医薬品、バイオ後続品において、承認申請時のCTDに案を添付し、承認後に公表されることとなった。更にRMPは、201410月施行の改正GVPに規定されるとともに、201411月施行の医薬品医療機器等法において承認条件として法的に位置づけられることとなった。これにより、RMPは医薬品製造販売業者の必須文書として規制上位置づけられるとともに、安全対策の科学性、透明性の向上に寄与するものとなることが期待されている。また、近年医薬品開発の主流がGlobal Studyへ変遷し、有効性・安全性情報のボーダーレス化や、承認審査段階での日本人の臨床成績の情報の量的変化が起こっていることから、海外の情報も踏まえた製造販売後の安全対策の重要性は高まっており、安全対策の中核となるRMPの重要性も高まっていくものと考えられる。

RMP導入により、各医薬品の安全性検討事項を定め、医薬品安全性監視計画やリスク最小化計画を事前に策定することで、安全対策を体系的かつ予測予防の原則で実施することが可能となった。また、承認審査段階においては、安全性に関する企業と当局間の見解の相違点を審査の早い段階に協議し、早期に適切な方向に導くツールとなる効果が期待される。更に、既承認の製品においても、重要な安全性の問題が起こった場合にはRMPを新たに策定して体系的かつ能動的な対応をとることが可能となった。RMPの策定過程や運用において、改善が望まれる事項も散見されるものの、このように公表されるRMPの導入によって、医療従事者、患者、行政及び企業にとって、安全性確保と適正使用推進に、これまで以上に有益な環境が整うこととなった。

本フォーラムでは、この2年をRMP導入段階である「第一段階」と捉え、その間に集積された情報を適切に認識・評価するとともに、本来の意味での実装に向けた定着を図る「第二段階」のキーポイントとして安全性コミュニケーションと医薬品安全性監視計画を取り上げ、リスク管理の本来の目的であるベネフィット・リスクの維持・向上に向け更なる改善点について産官学民で話し合うこととした。